閉じられた扉:白昼の密室と灼熱の監獄
太陽が最も高く昇る時間を過ぎた午後二時。残暑というには暑すぎる外気温は
30度を超えるような日…。
部屋には熱が籠もりきった、重く、ねっとりとした空気が満ちていた。
私は少し外出するつもりで、いつものように玄関に向かう。
ドアノブに手をかけレバーを押した。レバーは軽く動いた。
しかし扉は微動だにしない。「あれ?」軽い疑問は、
一瞬で全身を這い上がる冷たい焦燥に変わった。
まるで分厚い鉄壁が外の世界への道を完全に閉ざしているかのように。
「嘘だろ……!」慌てて室内のサムターン(鍵のツマミ)を確認する。
解錠の位置だ。何度も回し直す…、がデッドボルト(かんぬき)の金具は
動ごいていないのだろうか?
機構の内部で、決定的な故障が発生したのだと確信した。
冷や汗が背中を伝う。室内の気温は上がり続け、息をするたびに熱い空気が肺を焼くようだ。
体はすでに異常な発汗を始め、熱中症の初期症状のような軽いめまいを感じ始めていた。
閉ざされた出口への試行錯誤。私は自力での脱出を試みた。
まずは基本。前述のとおりサムターンを何度も操作し、ドアを手前、奥、上、下に押し付けながら
も操作し、何とかデッドボルトが動かないかしようとする。
ダメだ。(「ドアが動かない!=部屋から出られない。)
次に部屋にあったスプーンの柄や定規をドアの隙間に差し込み、
テコの原理でデッドボトルをこじ開けようと試みた。
スプーンはすぐに曲がり、定規はひび割れただけで微動だにしない。
次に頭をよぎったのはドアノブ自体を分解することだった。
外すためのネジの位置を特定する。
しかし、それはレバーハンドルの奥深く、普通のドライバーでは先端すら届かない
絶妙に意地悪な配置だった。
深い絶望感を感じる。
脱出のためには、やはり専門家に依頼するしかないのか?
しかし専門家に頼むと そもそもが高額であり、
なかにはボッタクリ料金を請求をされることもあるとも聞く。
なんとか自力で解決することはできないのか?
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次回に続く