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社員ブログ

Go Over the Rainbow

こんにちは。
イーディです。

僕は先日、遅い夏休みを頂いて、人生初の一人旅にチャレンジしました。
どこへ行こうかといろいろ悩みましたが、せっかくなら遠くまで行こうと、行ったことはないけれど思い出の場所である、カオハガン島に向かうことに決めました。

今年僕は、奥歯の銀歯が取れてどこかへ行ってしまいました。
なので今は治療中で仮で詰め物をしている状態なのです。
言葉にこそ出しませんが、僕はまだこの奥歯の事を引きずっています。
その苦しみから脱却すべく、一人で旅に出ることにしたのです。

 

羽田から飛行機で2時間と少し。
わりと近いんだなと思いながら空港へ降り立ちました。
無人島だというのだから文明の利器など無いと思ってましたが、以外にも空港は整備されており、看板も英語と日本語表記が混在して書かれていて安心しました。
カオハガン島の現地の人たちはアジア圏にルーツがあるのでしょうか、とても日本人に似た容姿をしています。
何か話す言葉も日本語に似ているような。
初めての一人旅で緊張しているから空耳が聞こえてくるようです。
早くもホームシック。
家帰っても一人だけど。

空港でレンタカーを予約しており、乗り込んでいざ出発です。
知らない土地を旅するなんてドキドキします。これぞ一人旅の醍醐味ですね!

カオハガン島は無人島と聞いていましたが、道路は整備されており、道も左側通行です。
このレンタカーも右ハンドルで操作しやすいです。

小さい島だと思いきや、とにかく道がまっすぐ。
何キロにも渡って信号もない道をどんどん進みます。
僕はペーパードライバーなので運転は下手なのですが、これなら気持ちよくドライブ出来ます。
スピードも出しちゃうところだけど、そこは法定速度を守って走ります。
現地人から煽られもしましたが、ヤリでも飛んできたら怖いので道を譲りながら。

泊まる宿泊施設まで1時間くらいかかるのですが、チェックインまで少し時間があったので、途中ガイドを見ながら近くの湖を目指しました。
湖と言っても、海と繋がっている汽水湖です。
海水と淡水が交わる湖。
この湖は僕が小学校の頃、授業で出てきた場所なのです。
昔から今に至るまで、どのように湖が変化していったのか。
太古のロマンに少年は思いを馳せたものでした。
そんな場所なので寄ってみたくって。

湖は広大でした。
奥は海なのですが、湖と海の境目は細い道になっているのでよく見えません。
これが授業でならった湖かぁ。
感慨深いものでした。

お腹が空いたので湖の前にある休憩所で食事を取ります。
この湖の名産のホタテカレーです。
233ペソ(日本円で500円ほど)でホタテがゴロゴロ入っています。
すごく美味しい!
ホタテとかカレーってカオハガン島にもあるんですね。
無人島だけに閑散としていました。

湖を後にした僕は、そこから2時間かけて今度こそ宿泊施設へ向かいました。
無人島だからそのへんで野宿でもするのかと思ってましたが、なんとその宿泊施設には温泉が付いているそうです。
溶岩か何かの熱で温められたお湯なのでしょう。
宿泊施設に着いて温泉に入り、僕はもう疲れ果てて寝てしまいました。

 

翌日5時起き。
眠い目を擦りながらまた2時間超のドライブです。
旅のメインアクティビティである、世界遺産観光へ向かいます。
突き出た半島にあるそこは、動物の楽園らしいのです。
またもやまっすぐの道を現地人に煽られながら進みます。

途中名所である滝で写真をぱしゃり。
カオハガン島は南の島ですが、ちょっと寒そうに見えませんか?
この日はあいにくの曇り空。
しかも少し前にタイフーンが通過したようなのです。
その為海が荒れています。
実は朝早く起きたのは、現地の小型クルーザーに乗って自然体験を行う為でした。
しかし海が荒れてしまった為この日は全便欠航。
もし乗れていれば、運が良ければマッコウクジラやシャチ、半島の岸壁にはヒグマも見られるそうです。
南の国にもヒグマって居るんですね!

海が荒れていても陸路で半島の手前までは行けます。
半島の真ん中から先端までが世界遺産となっていて、真ん中より先は人が入ってはいけない神聖な場所とのこと。
そこまで行けなくて残念。

半島の真ん中に、5つの湖が存在しています。
ここがまさに世界自然遺産。
上野のル・コルビジェ建築とはわけが違います。
大自然の中にあるのです。

この湖はまさに、ヒグマの生息地。
ヒグマのおうちにお邪魔するという感覚です。
その為、入る前に小屋でレクチャーを受ける事が義務付けられています。
15分のレクチャーでは、端的に言うと「ヒグマはやべーやつ」という事を植え付けられます。
ヒグマはとにかく危険だしコミュニケーションが取れる相手ではありません。
襲いかかってきた場合、時速60キロで走ってくるそうです。
人間が走っても逃げ切れません。諦めるしかないのです。
なので、ヒグマが襲ってきても、絶対動いてはいけません。
それは威嚇行動で、途中で止まるそうです。
ヒグマが止まったら、こちらはゆっくり後ずさりその場を離れる。
そうしなければまた襲ってくる、ということでした。
そんなんできるかー!!

5つの湖の周りに散策路があり、そこを分け入って進みます。
散策路と言ってもちょっと踏み固められてるくらいの、森というか山道です。
背丈の高い草や木が多く、この茂みからヒグマがひょっこり現れて、目が合ったら何話せばいいんだろうとときめいてしまいます。
恋が始まった時には胃の中かもしれませんが。

無人島だけにまったく人が居ない。
こんな危険な場所を、旅の素人僕一人で歩くなんて常軌を逸してます。
マジでめっちゃ怖い!
一人旅って怖い!!

ヒグマに襲われない為には、ヒグマに人間の存在を早めに気づかせるようにするそうです。
なので鈴とか付けるんですね。
しかし僕は鈴なんて持ってないので、独り言をつぶやきながら進みました。
やれ景色がきれーだとか、ヒグマさん僕は食べてもおいしくないですよーとか。

僕はなぜ一人旅をしたことがなかったかと言うと、とにかく寂しがり屋なのです。
家でも日曜の夜とかとても寂しい。
だから一人旅なんて出来ないと思ったのだけど、今回は頑張ったんです。

でも!やっぱり寂しいです。
こんな無人島でヒグマを警戒しながら綺麗な景色を一人で見るなんて!
この記憶は僕の中にしか残らない。
紛れもない僕のエクスペリエンス。
でも僕は誰かと分かち合いたかった。
出来れば可愛い女の子と。。

湖は1湖~5湖と連なっていて、全長3キロくらいあります。
そこを2時間くらいかけて歩きました。
無人島だけど結局鳥の一羽も飛んでなくって、最後の方は寂しいからヒグマ出てきてくれとお願いしながら歩いてました。

一周りして終了。
森を分け入って歩いたので、まあ疲れました。
5湖を後にし麓の休憩所で昼食を取ります。
選んだのは何か魚卵のソース漬け。
白い穀物の上に赤いツブツブがたっぷりかかっています。
口に入れるとプチプチとした食感から溢れ出る旨味。
何か母国でも食べたことがあるような懐かしい味。
でも粒の大きさが違います。
いやー美味しい。美味しいけど、やっぱり一人で食べるのは寂しいなぁ。
こんな異国の地で、一人でご飯食べてるのは地球上で独りだろうなぁ。
美味しいなぁ。

 

疲れたので観光もそこそこに車に乗り込みます。
まっすぐな道の途中には、大きい湿原とか、馬とか、牛などが見えました。


雄大だなぁ。
寂しいなぁ。
宿泊施設へ戻り、また温泉に入って寝ました。

 

最終日。
特に予定もなく、チェックアウト後は空港へ向かうだけだったんですが、せっかくだからと海の幸が回るという現地のソウルフードを求めて車を走らせました。
11時開店にも関わらず、店内は現地の人たちで一杯。
カウンターが1席空いたので僕はそこへ通されました。
目の前を魚がベルトコンベアで流れ、それを自ら取って食べるというカオハガン島独特の郷土料理。
青い魚や赤身の魚など、新鮮でプリプリです。
現地のカニを煮込んだスープなんかも提供されて、これもダシが取れていて美味しい。


でも実は、前日寝る前お菓子食べてたらとうとう歯の詰め物取れちゃって、完全に歯に穴が空いた状態に。
食べる度に歯が染みる染みるアイタタタ。
郷土料理は美味しかったはずだけど、正直味はぜんぜんわかりませんでした。

 

というわけで、今回の旅もここまで。
空港から東京へ戻りました。
離陸途中、歯が抜けた僕の心の闇を照らすべく、飛行機の窓から虹が見えました。

 

~七つの色を使い分けてほら、もうすぐに見えるだろう新しいパラダイムが~

 

簡単に抜けた歯の事を忘れることは出来ないけれど、僕はきっと超えていくと思います。

この虹のように。